人生いちどきり

後悔先に立たず!美食の街、サンセバスチャンの大学院でソムリエのコースを修了後、スペイン人と結婚して現在マドリード暮らし

ガリシアワイナリーツアー

ご無沙汰しております

この1か月べらぼうに忙しかった

それはなぜなら卒論の準備をしなければならなかったからだ

しかも1つではなく2つ…!ただでさえネイティブでないのにプレゼンと文書両方こなすのはかなりきつかった…

しかも家にwifiがないので携帯のデータ通信を共有したり、カフェに行ったりでストレスも半端なかった

その様子はまた別日にでも

 

さて、ちょっと前になってしまったがガリシアに学校としては最後のワイナリーツアーに行ってきたのでブログに記したいと思う

このツアーはもともと学校が企画していたものではなく、D.O.リアスバイシャスが招待してくれたもの

なのでワイナリー見学はもちろん旅程はすべてD.O.が調整し、しかも費用もホテルやら交通費やら食事代まですべてD.O.もち

たしかに将来のソムリエやワイン業界の卵にいい宣伝を行えばその効果は結構大きいだろうなあと…マーケティングだな

初日は朝の3時に起きてビルバオまでバス~そこからサンティアゴ・デ・コンポステーラまで飛行機、さらにそこからD.O.のオフィスがあるポンテベドラまでバスで1時間とハードな朝

今回の仕立て役であるリアスバイシャス統制委員会のオフィスにてD.O.の現在の状況や地域の強みなどのプレゼンを受ける

日本でもリアスバイシャスはスペインワインの中ではよく知られている地域だと思う

メインのブドウ品種はアルバリーニョで、こちらのほうが有名かな?

リアスバイシャス=アルバリーニョというイメージで昔から売り込んできたのだが、それもそのはず、アルバリーニョが一定の割合(75%とかだったかな)入っていないとD.O.を名乗れないという

アルバリーニョ以外を栽培している農家ももちろんいるためこれについては農家の間でも結構議題に上がっていて、まだまだその議論は続きそう

D.O.を後にしてさっそくワイナリー見学へ

 

①Martín Codax

このワイナリーはリアスバイシャスでも1、2位の生産量で、日本でもカルディーなんかで売っているのをみたことがある

まずワイナリーに到着するとこの景色

martin codex

畑が一望できて、その奥には海

ここら辺ではムール貝の養殖が盛んにおこなわれているらしく、東北のカキ漁の棚のようなものにムール貝がずらっと並んでいる

リアス式海岸のリアスもここから来ているしね

この景色を眺めながらアルバリーニョのスパークリングを堪能

アルバリーニョの泡は初めて飲んだけど、たしかにアルバリーニョは酸味がきいていてフローラルだけどきりっとしたなかなかおいしいスパークリングになっていた

ガリシアはかなり山が多くて海にも囲まれていて、地形的にラ・マンチャ地方なんかと比べるとブドウ栽培がかなり厳しい

だからおのずと1ℓあたりの値段も高くなる

しかも気候も私がいるバスク地方と同じく海洋性気候なので雨が多く健康なブドウを育てるのがやっと

無農薬農業はほぼ不可能で、でもワイナリーによっては極力使用を控えるようにしているところもある

それから山で土地が細分化されるのと、たくさんいる子供たちに代々土地をわけ与えた結果一人の土地がかなり小さくなったこともあって1つの農家が持っている畑はかなり狭い

で、ここの収穫期のよくある光景は親戚一同集まって皆々が持っている畑のブドウをえっちらおっちら狩っていくという作業

換気をよくするためにこの地方では仕立て方は藤棚のように上からブドウがぶら下がるようになっているので、ブドウ棚も家族の身長に合わせて高かったり低かったり

クラスメートにガリシア出身でワイナリーと畑とレストランを家族が持っている子がいるのだが、その子がよく収穫がいかにつらいかを話してくれていて、今回のガリシア旅行でなるほどそういう背景があったのか~と納得

 

さて、ワイナリーを見学した後はマルティンコダックスについているレストランでテースティングそしてお昼ご飯

catas

今考えてみればワイナリーでワインは試飲しても小さなマリアージュが出てくることってなかったなあ

これはたしかムール貝かなんかのペーストにウニがちょこっと乗っている

めちゃくちゃおいしい

pulpo

vieira

ガリシアといえば海の幸

ここでは料理でたらふく皆々をもてなすのが習慣とのこと

#galiciacalidade

 

②Pazo de Señoráns

おなかも満足したことで続いてはこちらのワイナリー

こちらもガリシアの中ではトップに入るよきワイナリー

さっき言ったようなブドウ棚がこちらでは近くで見学できた

parral

これほんと収穫するの首と腰とすべてがイカれそう

このボデガは小さな醸造所のほかに昔の大豪邸がついていてそちらの見学もなかなかに面白かった

ガリシアの昔の大豪邸を「パソ」と呼ぶのだが、それがワイナリーの名前にもついている

 

夜は少し海岸をお散歩

ホテルのすぐそばにビーチがあった

playa

サンセバスチャンも歩いてすぐビーチだけど、こちらのほうが潮の香りがめちゃくちゃきつかった

たしかにこんなに潮の香りがしてしかもすぐそばにブドウ畑があればそりゃあワインにも多少は潮の味がつくかあと納得

昼ご飯を食べすぎてホテルで腹痛に苦しむ

 

2日目は3つのワイナリーを見学

①Terras Gauda

このワイナリーのワインも日本でも売ってるんじゃないかな

まずは畑見学

vinedo

ここは先日とは違いVSPで仕立てされている

1日目はリアスバイシャスの中でもバル・ド・サルネスというほぼアルバリーニョ100%のサブ地域を見学したのに対し、2日目はオ・ロサルとコンダード・デ・テアというもう少し南に位置する地域のワイナリーを見学した

この南の方の地域はアルバリーニョ以外にもトレイシャドゥーラや黒ブドウの栽培もおこなわれている

このワイナリーの畑もアルバリーニョ以外の品種も結構植えられていた

続いてワイナリーは緑で統一されていて、観光客向けにきれいに順路も整備されていた

テースティングは天気が回復したので外で

まずは一番お手頃なラインからテースティングし、そのあと黒ラベルのちょっと高級なボトルを試飲

アルバリーニョはほんと飲みやすいよねえ

 

②Altos de Torona

このワイナリーのメインパートは畑の見学

標高の高い棚田にブドウ畑が築かれていて、その様子はさすがに圧巻

vinedo

vinedo

写真の奥の方に見える川の向こう側はもうポルトガル

クラスメートのガリシア人に先日ガリシアって独立の気運とか高まったりしているの?と聞いてみたのだが、ガリシアの中でも3種類あってスペインにとどまっていて問題ない派と、ガリシアとして独立したらうれしい派と、ポルトガルに併合されたい派といるらしい

ガリシアが独立することはまずないだろうけど、言語もポルトガル語に似ているし、彼自身もスペインよりポルトガルのほうが共通点が多いと感じると言っていた

やっぱりスペインは面白い国だ

それはともかくこんな美しい畑を見た後すぐ近くの建物で昼ご飯

すばらしい景色に囲まれてすぐ近くの村でとれた牛肉をいただく

ガリシアは魚介もさることながらお肉もスペインでの消費量1位らしい

炭火で焼いたお肉は絶品

白ワインにも合う!!!

腹いっぱいに食べた後最後のワイナリーへ向かう

 

③Señorío de Rubiós

このワイナリーはなかなか面白いワイナリーで、何が特徴かというとコンダード・デ・テアのサブリージョンの中でこのボデガだけで赤ワインの生産が約70パーセントを占めているという

つまりリアスバイシャス=アルバリーニョから脱却して赤ワインをメインに生産しているというところ

しかもどれも質がよく、唯一無二のワインが出来上がっていて、やりたいことがしっかり見えているワイナリーという印象を受けた

catas

カイーニョ・ティントとブランセジャオという黒ブドウ品種のワインを試飲したのだが、なかなか面白い味だった

なんというか、雨と緑が多いところで造られたのがよくわかるような香りというか…

王道のテンプラニーリョとはまた一線を画した興味深いワインになっていた

 

とまあこんな感じでガリシアワインツアーも終わり、最終日は朝5時半に起きて飛行機でサンセバスチャンに戻る

体力がかなり摩耗したツアーだったが、もしかして今までで一番充実してたかも

少なくともガリシアには絶対もう一度戻らんといけないなと決意した旅となった

そしてここから最後の1か月弱は卒論地獄に追われるのであった…