人生いちどきり

後悔先に立たず!美食の街、サンセバスチャンの大学院でソムリエのコースを修了後、スペイン人と結婚して現在マドリード暮らし

卒業

先週ついにサンセバスチャンを出てマドリードに引っ越してきた

サンセバスチャンは本当に住みやすい街で、まだまだ住み足りないし半年で出ていかなければならなかったのが心から悔やまれてならない

もし万が一またスペインに住むことになったら絶対にバスク地方かカンタブリア、ガリシアもしくはアストゥリアスにすると思う

スペイン北部の何がそんなにいいかというと、

1. 自然がいっぱいで緑が豊か(雨が多いからね…)

2. 魚介類も肉類もどちらも質が高くておいしい

3. 食文化が根付いていてどのバルに入ってもはずれがない(マドリードでおいしいバルは20軒に1軒くらい)

4. ちょっと歩くとすぐ海に行きつく

5. かといって地中海近郊みたいにがやがやしてない

6. 人々も落ち着いておおらかな人が多い

7. 夏も涼しめ

8. 街が清潔

…といいところしかない

別の記事で最後に旅行したカンタブリアの様子をまとめようと思う

 

さて、卒業の前には卒論を2本執筆し、プレゼンを行った

一つはソムリエ/醸造の分野、もう一つはマーケティングの分野についてである

ソムリエ/醸造のほうはくじで当たったブドウ品種に関してまとめたうえでその品種で造られたワインを自分らで選び、そのワイナリーとワインについて解説、さらにそのボトルにあう小皿一品を実際にプレゼン当日につくって持っていき全員にサーブするというもの

マーケティングの方は、新しくワインやお酒に関するビジネスを構築したり、ワイナリーのマーケティングプランを考えたりというもの

両方とも2人一組のグループワークで、そう聞くと楽と思うかもしれないが、これが予想外にめちゃくちゃ大変だった

お互い進めるスピードも違うしこだわる箇所も違うし考えも違うし、これをまとめて一つの作品に仕上げるのが本当に難題

 

まずソムリエ/醸造のほうで私たちが当たったのはピノノワール

ピノノワールだけどブルゴーニュじゃなくてもう少し変化球をということで選んだワインはこちら

Cortijo Los Aguilares - Pinot Noir 2020

pinonoir

cortijolosaguilares.com

このワインはスペインの南部、マラガで造られているピノノワールで、スペインでピノ?!と思われるかもしれないがこのワイナリー、畑が標高1000mに位置しているので昼と夜の気温差が大きく気候も涼しいのでピノノワールの栽培が可能というわけ

2020年ヴィンテージは果実味がとてもつよく、イチゴやレッドベリー系の香りがぶわっと広がった後ほのかに樽によるクローブのようなスパイスの香りが追いかけてくるという秀逸なワインだった

このワイナリーはMondial des Pinots de Sierreというピノノワールの国際評議会で3度金賞を受賞するほどで、世界的にも認められている

醸造家のビビという女性もものすごく丁寧な方で、私たちが事情を説明してメールすると丁寧かつ迅速に返信をくれて、しかも無料でワイン2本と手書きのポストカードを送ってきてくれた!!!

バスク・クリナリー・センターの名、恐るべし…!

こちらに合わせるマリアージュは「サケの塩漬けとレーズン、カマンベールのパスタ ディル添え」

maridaje

ピノノワールの高い酸味に釣り合うようにレーズン、塩味を加える役目のサーモン、フレッシュさを加えるディルで攻めた

しかもレーズンはワイナリーの位置するマラガの特産品で、今回はどこ探し回っても手に入らなかったので仕方なくカリフォルニアの普通のレーズンを出したけどコンセプト的には一応マラガへのオマージュも兼ねている

マリアージュも本当にぎりぎりまでうまくまとまらなくてかなり焦ったけど、結果的に審判員である先生たちにもかなり気に入ってもらえて一安心

 

マーケティングの方はというと、こちらもかなり難航して結局本腰入れて書き始めたのが提出1週間前から

なのでソムリエのほうといいマーケティングの方といい最後の1, 2週間は本当に精神的にもかなり参っていた

こちらはバスク地方でチャコリをつくっているイチャスメンディというワイナリーのマーケテイングプランを再構築するというテーマに決めた

イチャスメンディは日本にも入荷されている中規模程度のワイナリーで、チャコリというと白ワインだけど赤も甘口も作っている

www.bodegasitsasmendi.com

このワイナリーはウルダイバイという生物保護地区の中にブドウ畑があり、周囲の環境に非常に配慮を行った栽培をしている

それからチャコリというとほとんどがバスク地方で消費されていて、私たちは今回そこから出てみようということになり、アンダルシア地方のセビージャでプロモーションできないかというプランを中心に練ってみた

チャコリはアルコール度が低く酸が高く、微発泡で冷やしてさらっと飲めることからあっついアンダルシアに最適なんじゃないかなと

セビージャのいくつかのワインショップとレストランを実際に選んで、さらにスペインに広く展開するグランピングの会社を見つけたのでそちらとコラボしようという案も練ったりした

 

そんなこんなで無事卒論を提出し終え、プレゼンも無事に終了しあっという間に卒業式を迎える

卒業式は6月の下旬に行われた

graduacion

このサンセバスチャンの地を踏んでからもう半年たつのかあと思うと本当に時が過ぎるのは早い

授業の質やクラスメートの士気がめちゃくちゃ高かったかというと思いっきり首を縦に振ることはできないけど、スペインのワインについていろいろな角度から学ぶことができたし、何よりサンセバスチャンに半年でも住めたのが本当に大きな収穫

いろいろなワイナリーにも連れてってもらえたし、履修してよかったなあとは思う

 

そんなこんなで思い出を胸に今度はマドリードのワインショップでインターンを始めるために引っ越し

そしてマドリードの暑さと埃っぽさに一日で喉と鼻がやられる

インターン自体は8月に始まるので7月はのんびりとワイナリー見学したり旅行したり家でぼーっとしたりしようと思う