人生いちどきり

後悔先に立たず!紆余曲折あり今はマドリードのワインショップでソムリエとして勤務中

ウティエル・レケナ ワイナリー見学 -Mustiguillo-

一つ前の記事にも書いたように、今週末バレンシア州に旅行に行った

そのメインイベントがこのワイナリー見学

まずはたいそうな門構えで迎えてくれる

bodega

まずはウェルカムドリンクとしてカバが配られる

メルセゲラというこの地域の土着品種で造ったカバで、ふくよかさがあってお食事にもよく合いそうなカバだった

ガイドを担当してくれたのはこのワイナリーの創立者の孫にあたる女性で、おじいちゃんがこの地にまずは土地を買い、その息子で彼女のおじが醸造の勉強をして技術的にもこのワイナリーを前進させ、孫の代で土壌の研究などを通じてさらに発展させた

家族経営プラスそのほかに従業員が20人ほどとのこと

そもそもおじいちゃんは公共の道路や建物を請け負う建築士で、スペインでこれになるにはめちゃくちゃ相当賢くないとなれないらしい

この門構えといい敷地の中の整然さといい、そういうところにあらわれているのかも

ここの地域は先ほどのメルセゲラという品種のほかにボバルという品種が土着品種で、まだワイナリーができた当時はボバルはバルク用に安い価格で大量生産されるための品種だった

このボバルという品種でもっと質のよい長期熟成用のワインを作るというのを目標として掲げ、それを達成するために相当の苦労をしたようだ

スペインではこの品種で造るワインというだけで全然売れず理解もしてもらえなかったのでドイツの見本市(たぶんProWein)にかばん一つもって出向いいろんなひとにひたすら試飲してもらった

その結果アメリカのかなり大手のワイン輸入商社がこのボバルを非常に気に入りできたワインの半分を買ってくれる契約までこぎつけたとのこと

いやーこの情熱が素晴らしいよね

 

その情熱は今でも引き継がれていて、例えば土壌に対する熱心な研究心は他のワイナリーでもなかなか見ないほど

suelo

土壌の性質を知るために、畑の何十か所も何年にもかけて掘って、どこまで水を貯えるか、つまりどこまで根を張ることができるのかという分析をし、それをもとに地図を作製

その地図をもとにどこの土壌が似ているかとグループ分けをしたうえでそのグループごとにブドウを一番最良の状態で収穫する指針にしているそう

チリからわざわざそれ専門の技師をよんで毎年まいとし研究しているとのこと

殺虫剤の代わりになるような植物や、水はけをよくする植物をまわりに植えることで自然の力だけでブドウを育てている

それからビオディナミ農法も取り入れていて、ハーブの汁を作って撒いたり角に肥料を入れて埋めたりもしていた

こうして畑での仕事をめちゃくちゃ丁寧に行うことで、あとでワイナリーであれこれ加えたりする必要がなくなるとのこと

 

こちらはガルナチャ

garnacha

このガルナチャがめちゃくちゃフレッシュですっきりしていて飲みやすい

フレッシュさを保つために20%の果梗を使用するとのこと

 

一部のワインには発酵に大樽を使用

熟成にも樽を使っていた

ただし樽の香りがワインの果実味を消さないように十分に注意を払っている

barrica

barricas

展示用か実際に使っているのかはちょっとわからないけどティナハ(つぼ)もあった

tinaja

最初に配られたカバは、本数も少ないのですべて手でルミアージュを行いデゴルジュマンも機械を使わず全部手作業で行うとのこと

cava

 

シラー、メルセゲラ、ボバルと赤×2&白×1を最後にテースティング

それからオリーブオイルも作っているそうで、それもめちゃくちゃおいしかったな~

おつまみにはこれまたこの地域でつくられたチーズとサラミがでてきて完食

 

常に研究熱心で時代や状況に合わせて柔軟に革新していく素晴らしいワイナリーでした!!

 

実はこのワイナリーのワイン、メルセゲラの白と一番高いボバルの2種類をお店にもおいていて、今回上司に普通にワイナリー見学予約したと話したらなんで直接言ってくれなかったんだー!と言われた

プロとしていくともちろん見学費用もとられないし説明もプロ用にしてくれるのにー!とのことだったので次からはまず行く前に上司に相談しなければトホホ