人生いちどきり

後悔先に立たず!美食の街、サンセバスチャンの大学院でソムリエのコースを修了後、スペイン人と結婚して現在マドリード暮らし

マドリードワイナリー見学 -Bernaveleva-

昨日はこの暑い中マドリードにあるワイナリーを見学してきた

マドリードのワインというとあまり馴染がないかもしれないが、最近少しずつアツくなりつつある地域でもある

原産地呼称はビノス・デ・マドリードで、その下にサブ地域が5つ

その中でも一番質の高いワインを産出するのがサン・マルティン・デ・バルデイグレシアスというマドリード州西部に位置する地域である

マドリードはメセタ・セントラルの中央部に位置しているのでバリバリの大陸性気候、夏は猛暑で冬は極寒 降雨量は少なく日較差が大きい

そんなマドリードで一番よく育つのが黒ブドウだとガルナッチャ種、白ブドウだとアルビージョ種

 

昨日訪問したワイナリーは、以前学校の授業でテースティングしてなかなかおいしいなあと思った記憶のあるBernaveleva(ベルナベレバ)というワイナリー

朝10時の予約をしていたのだが、なぜか起きる時間を1時間勘違いしてしまい、家を出てカフェで優雅にコーヒーを注文しつつ時計を確認してあれ???バス出るのって8時半じゃなかったっけ???今8時45分だぞ???という事態が発生

バス停までも30分ほどかかる挙句バスが出る本数も少ないので次に乗れるバスだとワイナリーにつくのが11時頃より遅くなってしまう…ということで泣く泣くタクシーを拾う

高速に乗ってタクシーに揺られること1時間で到着、、、お会計は90ユーロ。。。泣

 

気を取り直してワイナリーにつくと醸造家の男性が迎えてくれる

今回は私たち3人だけのプライベートツアーで、まずはブドウ畑を見学したあとワイナリーで樽から直接赤白甘口ワインをテースティングさせてくれるとのことだった

乗り込むのははこんな感じのジャングルクルーズみたいな車(まああれは船だけど…)

cochecito

畑は丘の様々な標高と角度に少しずつ築かれていて、全部で40ヘクタール弱あるとのこと(賃貸も含む)

このちっさい車で上から畑を見渡せる場所へつれていってもらう

sanmartin

以前いったガリシアやプリオラート、バスク地方とは全く違う景色が広がる

丘といっても広大な台地のまんなかなので標高差はほとんどない

写真に見える柵は動物よけとしておいているのだが、このポールさえたまに盗まれることがあるらしい笑

vinedo

仕立て方法はすべて株仕立てで、収穫は手作業で行われる

収穫期になると摘む担当が10人、ワイナリーに10人だったかな、モロッコからの出稼ぎ労働者が毎年活躍するとのこと

それからこのワイナリーは人的介入をできるだけ最小限にとどめて農薬も極力使わないようにしているらしく、例えば亜硫酸の投与をできるだけ減らすためにワイナリーや設備は常に2人態勢で掃除をしきれいに保つようにしているとのこと

破砕機などが汚れているとそれだけバクテリアも入りやすくなり、一般的に亜硫酸の投与も増えると以前授業で習った

ブレンディングされるのは最終段階で、発酵は各畑ごとに分けて行われる

それからすべてのワインは無濾過でボトル詰めされる

重力だけを利用して沈殿物を発酵時容器の底にためてそれを瓶に入れないようにしている

ちなみに上の写真、ちょっとみにくいかもしれないけれどかなりブドウの房が生い茂っている

醸造家によると今年はかなり豊作のようで、最近中古のステンレスタンクの広告が送られてきたからそれ買ったほうがいいかなあと言っていた

この段階のブドウを一粒もぎって食べさせてもらったのだが当然めちゃくちゃすっぱくかりかりな食感だった

これがあと1、2か月もするとぷくぷくと大きくなるんだなあ

マドリードでメインのアルビージョ種はここの気候も相まって酸味を保つのが非常に難しい

マドリードのD.O.ではワインのpHが規定されているらしいのだが、規定の数値の酸を達成するのに毎回苦労しているらしい

どのD.O.もリオハの規制をお手本に数字をちょちょっといじって造られているので醸造家にとっては結構悩みの種とのこと

D.O.を出ることは考えているか聞いてみると今いろいろ検討中といっていた

このワイナリーは設立当初ビエルソで有名な醸造家、ラウル・ペレスのアドバイザリーを受けていたこともあるらしく、彼の提言でゴデージョ種も結構植わっていた

ゴデージョはどちらかというとフレッシュな酸を保つ品種で栽培もしやすく、案内してくれた醸造家的にはアルビージョを引っこ抜いてゴデージョを植えなおしたいのが本音とのこと

 

畑の見学が終わると今度はワイナリーへ

bodega

bodega

白赤5杯ずつほど、それに甘口を2杯、醸造中の容器から直接テースティング

まだどれも市場に出ていないもので、プレミア感満載

最後にのんだランシオ・ワイン(意図的に日光に当てて酸化させた甘口ワイン)がなかなか珍しかったので思わず購入

ガルナッチャを遅めに収穫したあと、シェリー酒と同じく小規模のソレラシステムに入れて、さらにマフエロと呼ばれるガラスの壺に貯蔵して外に放置しておくことで日光にあてることで何十年と保存期間のきくワインに仕上がる

以前同じような製法のワインをプリオラートでも飲んだことがあるが、そちらは確かかなり凝縮度が高かったのに対してこちらは比較的さらっとしていて口当たりも上品だった

毎年200本ほどしか出荷されないという

rancio

真ん中のがランシオワイン

以前のレポートはこちら↓

vidasolohayuna.hatenablog.com

 

今回のワイナリー見学はプライベートツアーだったのがとてもよかったのと、醸造家のJuanが楽しそうにワイン造りを語る姿がとても印象的だったので結構よい訪問になったと思う

まだまだ規模は小さいワイナリーだけど、特に輸出に力を入れているようで(ちなみに日本にも輸出している)今後の発展が大いに期待できそうなワイナリーだった