人生いちどきり

後悔先に立たず!美食の街、サンセバスチャンの大学院でソムリエのコースを修了後、スペイン人と結婚して現在マドリード暮らし

ワイナリー見学 -Itsasmendi-

木曜日は授業の一環でワイナリー見学に行った

行先はサンセバスチャンとビルバオの中間にあるゲルニカという街のワイナリー、Itsasmendi

バスク地方のワインはリオハの一部であるRioja Alavesaを除いてすべてチャコリと呼ばれる

今回見学したワイナリーもチャコリを生産している

チャコリはほとんどが白ワインで、高い酸味が特徴

私は好んで飲むかと言われれば実際あまり好きなタイプではないけれど、せっかくバスク地方にいるしバルに行くとたまに頼む

ワイナリーではまず蔵主のワイン造りに対する哲学と、ワイナリーの歴史を説明してもらい、さっそくテースティング

彼曰く、一つ一つの畑にはそれぞれ違いがあって、良しあしではなくそれぞれの違いを認めながらどうやって素晴らしいワインを作っていくかを常に研究し続けているとのこと

ブドウ品種だけで自分のワインを判断されるのではなく畑の多様な生態系を含めてどんなワインか評価してほしいと語っていた

viñedo

ワイナリー見学の中で全部で7杯ほどテースティングしたのだが、チャコリはフレッシュで酸味が高いワインだという固定観念を少しだけ変えてくれた

澱との接触によるパンやブリオッシュのような香りがほんのわずかにつけられていたり、樽での醸造によるバニラのようなふくよかさが存在するものもあった

蔵の規模はチャコリにしては大きい方で、ワインツーリズムにはそこまで力を入れていないと言っていたけれどかなりスタイリッシュで洗練されたワイナリーだった

bodega

蔵主はもともと両親が畑を持っていたわけではなく(スペインは大体代々ワイナリーや畑を継ぐことが多い)、造園を勉強していた人で、数人の仲間とともに農地を借りるという形で試験的にワイナリーを始めたらしい

そのせいもあってかかなり好奇心旺盛で、いろんなプロジェクトを計画していた

その一環として先ほどの澱との接触や樽での熟成、さらにはリースリングやそのほかの品種とブレンドしてみたりと次から次へと多種多様なボトルが出てきた

txakoli

リースリングとのブレンド、チャコリがこれほど濃い色であることは結構珍しい

vinificacion

中規模の蔵にしては設備がかなり整っている

そして一番素晴らしいと思ったワインは赤のチャコリ

赤のチャコリは初めて飲んだのだが、土のような深みのある風味と赤系果実のフレッシュ感のバランスがよく、そこに独特の酸味と少しの苦みが加わって複雑な味わいになっていた

スペインワインというと重くて樽の風味がしっかりきいていて牛肉と濃いめのソースに合わせるというイメージが強く、もしかしてそのせいでなかなか日本の市場に響かないのかなー?と思っているのだが、この赤のチャコリはそんなスペインワインの通念をひっくり返してくれる素晴らしいワインだと感じた

使われている品種は確かオンダリビ・ベルツァ(バスク地方の土着品種)、ピノ・ノワール、カベルネ・フランだったと思う

バスク地方はスペインの北部、ピレネー山脈を挟んでフランスと接しており(フランス側にもバスク地方がある)、大西洋の影響を受けて降雨量が非常に高い

そのせいで病害による被害が多く、収量が減ってしまうなどかなり苦労も多いとのこと

蔵主のワイン造りに対する意欲と哲学が十分によくわかるよきツアーでした

www.bodegasitsasmendi.com

 

ツアーは15時ごろに終わったので、帰りに海辺のバルでクラスメートとランチ

bar

モジェテと呼ばれる南部のパンに野菜やお肉を挟んだ一品で、マラガのクラスメート曰くマラガではこの手のパンを提供するバルは石を投げれば当たるほど一般的らしい

さすがにワインは飲みつくしたのでみんなビールを頼む笑

 

-おまけ-

先日の授業で先生がお土産を持ってきたよ~というので何かと思ったら、何とVega Siciliaだった

ALION 2002

alion

ワイナリーから直接購入し、そのまま先生の家のボデガ(蔵)で熟成されていたものらしい

Vega Siciliaとはリベラ・デル・ドゥエロの中でも名高いワイナリーで、スペインワインを牽引するような存在

口にするとなんとも言えないスパイスやハーブの香り、今まであまり飲んだことのないような立体的な風味を持つ素晴らしいワインだった

ちなみになんらかの形でワイナリーのメンバーになって数年たつと毎年こんな冊子が送られてくるらしい

folleto

ベガシシリアはもちろん、ボルドーのペトリュスやトカイワインまで業務用価格で購入できる

本当に限られた人しか会員になれないとのことで、先生もいろんなコネを使ってやっとこの冊子を手に入れたと言っていた

スペイン、コネ社会である